2014年10月1日水曜日

〇「奥の細道紀行」(40) 芭蕉の句《関守の宿を水鶏(くいな)に問はふもの》の由緒

芭蕉と曾良は元禄2年4月、白河の関を越えて須賀川宿に入り、門人「等窮」を訪ねて下にも置かぬ大歓待を受ける。その時「等窮」から初めて白河に芭蕉の大ファンの俳人「何云(かうん)」(白河藩士)が居たことを聞く。逢えずじまいを残念に思った芭蕉は須賀川の旅籠から「何云」宛に書簡を認めた。その書簡は現存し《何云宛真蹟書簡》として有名らしい。その中には白河を詠んだ句 西か東かまづ早苗にも風の音》 が認められているそう。
冒頭の句は通り越した白河の地における「何云」の存在を聞いて生まれた。 
関守の宿を水鶏(くいな)に問はふもの》 
「何云」を白河の関の関守に見立てている。関守の住処を水鶏(くいな)に尋ねればよかったものを‥‥と会わずにきたことを悔いまた詫びている。水鶏はその鳴き声が家の戸を叩いて訪ね歩いているように聞こえるらしい。この《何云宛真蹟書簡》、これだけの由緒に彩られ、芭蕉の句も詠み込まれているとなると、値のつけようがないなぁ。掛け軸にすれば茶席の大名物。無慮数千万円。

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