2012年11月1日木曜日

〇心に残る文化財(10)――奈良県「浄瑠璃寺」・国宝九体仏の寺。

〇浄瑠璃寺ほど彼岸の存在を感じさせる寺はない。 境内に入ると真ん中に大池があり、一方の岸辺の小丘の上に此岸に建つ国宝・三重塔があり、その中に薬師如来坐像が安置されている。対岸に国宝・九体仏が安置されている国宝・本堂が建っている。こちらは阿弥陀如来のおわす彼岸という訳。
↓ 国宝・三重塔





↓ 三重塔内陣・薬師如来坐像・重文。
↓ 大池の対岸に建つ国宝・本堂。





↓ 本堂内陣中尊・阿弥陀如来坐像・国宝。
↓ 本堂内陣・九体仏・国宝。中尊を真ん中に、その左右に四体ずつ居並ぶ。本堂は、雨戸を開くとその内の障子戸を透した淡い光で九体仏が照らされるようになっている。しかも一体毎に障子戸を透す陽光が正面に当たるように柱・柱間が設計されている。つまり柱間が九つの九間堂になっている(但し中尊が大きいので中央の間取りが大きい)。淡い陽光に浮き出た九体仏に初めてお目にかかるとその荘厳さに圧倒されて思わず合掌する。
〇浄土世界にも九品(くほん)の等級があって中尊が最高、以下中尊から遠ざかるごとに品等が落ちて右端の仏は最下等に位置づけられるらしい。そう思って九体仏の面貌・姿勢をよくよく観察すると九体とも全部違っている。そして面白いことに右端の仏像が顔立ちも坐る姿勢も一番良くない。座禅ならばいつも棒で打たれている口。
↓ 吉祥天像。普段は秘仏。この吉祥天像が日本で一番美しい。重文。
↓ 国宝・四天王像


↓ 不動明王&二童子像・重文。ボクの見る限り、この彫像は日本で一番すぐれた不動明王と二童子の像である。特にコンガラ・セイタカ両童子像が素晴らしい。これが国宝でないのが不思議。多分像の由緒の証明資料が十分でない。
↓ コンガラ童子像
↓ セイタカ童子像

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