2012年3月25日日曜日

〇湖北「正妙寺」に世にも怪異な「千手千足観音像」がある。

高月町立観音の里歴史民俗資料館で千手千足観音像があることを知った。その写真像たるや怪異。まるでムカデ(百足)の王者。これは思弁の行き着くところの産物であって、決して芸術・美術的センスからは生まれない。観音像の発祥は人と同じ姿から始まる、それが聖(しょう)観音像。薬師寺の聖観音像(国宝)が代表例。それをパワーアップさせて十一面で見ているぞという姿が十一面観音像。湖北・渡岸寺の十一面観音像(国宝)が代表例。さらにパワーを爆発的にアップさせたのが千手観音像。これは正確には十一面千手千眼観音像(千手の掌に一眼ずつ着いている)。何事もお見通しでどんな衆生でも救って見せるという決意と能力の表れ。興福寺国宝館の千手観音像(国宝)が代表例。この上のパワーアップを狙って千足を加えたのがこれ。




千足の加え方としては、マングローブ型とムカデ型が思弁され得る。この像はムカデ型を採用しているがさすがに奇怪で気味悪い。見えはムカデだが、機能は戦車のキャタピラ(無限軌道)を思えばよいか。どこでも・どこまでも救済に行くぞということか。この観音像、元は地方豪族の妻の念持仏だったそう。今は湖北高月町西野の正妙寺にある。吾輩が先日訪れた西野薬師堂のある所。50mも離れずにその寺は見えていたのだが、参拝する気になれず仕舞いだった。芸術味を感じなかったから。

0 件のコメント:

コメントを投稿