2011年10月4日火曜日

◇吾輩の家族、五人娘

吾輩の子供はみんな女の子で五人もいる。上から「里」「桜」「雪」「もみじ」「みどり」。「里の四季」というわけ。ただ「桜」と「雪」は九ヶ月の胎児で死んだ。双子。吾輩が独りで火葬場で骨を拾ってきた。お骨は居間のピアノの上に居て姉妹がピアノ練習するのを聴いてきた。吾輩の心の世界では、我家は五人娘の家族。それにしても双子が生きていたらさぞかし賑やかなことだったろう。双子が混ざった五女の家族は想像するだに楽しい。娘たちが幼女・少女の頃、みんなで家族旅行によく出かけた。あげくに夏休みに本州一周旅行を敢行したのは傑作だった。その娘たちもとっくに成人して居なくなった。「桜」と「雪」の小さなお骨だけが相変わらず居間のピアノの上から吾輩と女房を見ている。ところで家族旅行に出たとき、吾輩は写真を撮りまくった。膨大な写真集が残された。その中には素晴らしい写真もあろう。思い出の発掘もなかなか好いんじゃないかと思えるようになった。娘たちの肖像権を侵さぬように配慮しながら、遠い過去の思い出の海に沈んでいた楽しい写真たちを浮かび上がらせてみるのも面白かろう。折を見てやってみよう。

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